「自由」って言葉がいつの間にかキラキラしなくなった?

昨日、旦那と近くの商店街を歩いていたらやたらモダンで席数の多い内装の吉野家を見かけました。
私が「なにこれ、やたらオシャレやなぁ」と言うと、「この店ならノマドワークできるんちゃうん?笑い」との答えが。ノマドワークって!!久々聞いたわぁ~。懐かしすぎてしばし爆笑。調べると2010年くらいから流行りだした言葉だったようですね。というか、吉野家でノマドワークするのは迷惑なのでやめましょう(笑)。

そういえば。
ノマドワーカーってのは「意識高い系」と揶揄されるようになって早10数年経つものの、流行ったなりに理由があった気がします。それは「時間」「場所」「お金」そして「心」の自由への圧倒的憧れ。全員が“圧倒的に”憧れてたかどうかが別ですし、フワフワしたものとして顔をしかめる人も一定数いましたが…。少なくとも当時の私には、自由というものには美しい響きが感じられた気がします。自立や遊び心や、クリエイティブなもの。

そこから時は流れ、いつの間にか「自由」という言葉は美しいキャッチコピーとしてはあまり聞かれなくなりました(もしかすると、情報が開いているようで閉じてしまった時代だから、私だけかもしれませんが…)。
その間、自由を享受した代わりに痛い目を見た人もいたかもしれません。自由を得るのってそんな甘くないものだと肌で実感して閉じこもった人もいたかもしれません。また逆に、実際に自分なりに自由をつかみ、今なお好きなように生きていっている人もいるかもしれません。

でも現在、全体の流れとしては私には、「自由自由ってもうよくね?」「むしろ何かに縛られたい」という空気すら感じられます。
その縛られる対象としては、これまでのように家庭や職場のこともあれば、分かりやすい決まり事(罰則のあるもの)などだったり、半分実態のあるようなないようなコミュニティのこともありますし、誰がしかリーダーの牽引するカルチャーのこともあります。確かにそう、人は何かに軽く縛られている方が心地よかったりラクだったりするのも事実。ラクなことは、あるレイヤーではハッピーなので、それは私もわかるし否定できません。

でもそこには、「自由であるためにはどうすればいいか」という対話を諦めてしまったという側面も感じられます。

※かつてこの本にもかなり影響受けましたね…。

前述したとおり、「自由」ってとってもフワフワした言葉。
それはなぜかというと、語る人によって自由の中身はいかようにも変わるからです。会社を辞めたり、離婚したら自由と感じる人もいます。一方で、会社にいても家庭においても、発言権があれば自由だと思える人もいます。シングルでも、お金持ちでも、人間関係のしがらみによっては自由とも不自由ともいえる。だから、「自由」ってのを漠然と語る前に、自分は何によって自由を感じるのか、自分の気持ちと対話する必要があるんですよね。
そして、人が自由だと思える環境って、突き詰めて突き詰めて突き詰めて…いくと、外的条件によるものは割合少ない。それよりも、その外的なものに対して自分がどうアクションを起こしていくか(あるいは起こさないか)がキモなんじゃないかと私は思っています。

この数年、世間で何が起こっているのかを私自身、正確に把握しているワケでなはいので、語るのは控えていました。が…、どうやら、カタチのある外の世界と向き合えば向き合うほど、私たちは籠の中の鳥なんじゃないかと悲観的に思えてきます。世界のことや経済のことは遠くの誰か知らない人次第で、私たちはなんとなく従うしか仕方ないんじゃないかと。

ただ、ちょっと冷静になって考えてみると、世界情勢は今も昔も変わり続けているのは同じ。カタチある外の世界の一定の条件(ルール)の中で、自分のできることやってみたいこと、ありたい姿を思い描いてトライするかしないか、それも以前と同じだと思います。今が籠の中の鳥なら、昔はもっともっと小さな籠の中の鳥だった気がします。なんか、錯覚してたんじゃないかと。ここ数日、そんなことを考えて思い直しました。

私自身は自由なのかというと…まあ基本的には好きな過ごし方しかしていないし、それなりに自由。でももう一度今の環境からの視点で考え直してみてもいいんじゃないかなと思っています。ホンマに心的には自由にしてたかなと。情勢のせいにして、本当の意味で自分を喜ばせるのサボってたんちゃうかと。逆にいうと自分ができる範囲で自由でいられたら、他人の自由を侵す必要もないわけです。
『自由』って言葉は今や、キラキラもギラギラもしなくなったんだけど、そういう今やからこそ、実際的な選択肢を選ぶときにこの問いが必要になった気がします。

別にノマドワーカーで思い出したわけじゃないけど、たまたま自分の心的状況と重なっていたので、書いてみました。

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