伝わる自己表現を続けていくには、基礎力が必要だと思っています。
その基礎力とは、“自分のフィールドを作るチカラ”。
自分の発信を広めたければ、流行りの話題に乗っかったり、人気の人のコトバを引用して注目を浴びることも可能ですが、それはあくまで他人の作ったフィールドなんですよね。
長続きさせるには、自分で自分の文化なりフィールドを作る必要があります。何より、人の文脈をいくら上手にツギハギしても、根っこがなければ支離滅裂になるはず。
核となる主張が揺らいでいては、自分と知り合い以上には伝わりません。
逆に、自分の体験に落とし込み、しっかりと感じて書かれた文章には、知名度はなくても説得力があります。
以下の5つのトレーニングは、私自身も失敗を重ねて、誤解されたりうまく書けなくなる、という体験を通じて実感したものばかりです。よかったら活用してみてください。
=自分のフィールドを作る5つのトレーニング=
1:人の話を安易にまとめない。
自己表現の話ですが…のっけから「話の聴き方」についてです。
人の話を聞くときに、「あなたの話は一言で言うと要するに●●ですね」とサクッと言い切っちゃう人っていますよね。業務連絡なら必要なこともあります。急ぎですから。
ですが、人の言語表現について、繊細なところをバッサリ斬り落とすのは禁物。
繊細な表現の違いによって、まったく意味が違ってしまうことがよくあるものです。逆に言うと、安易にまとめずに注意深く聞くことで、人の主張の「核」が見えてきます。その人にとって何がいちばん伝えたいことなのか、ってこと。
2で話すことにも繋がるんですが、以前私は「この人と私は、ざっくり言うと主張が“同じ”だな」ってカン違いしたことがあって。一緒に行動しているうちに、だんだんとズレが見えてしんどくなったことがあるんです。ズレが目に見えて大きくなった時には、すでに言い出しにくくなってました…(必要だったので伝えましたが)。
大事なのは細部まで覚えることじゃなく、その人の言いたい「核」をズラさないことなんですよね。
人の話を大切に聴くことによって、自分との共通点、違いが分かります。結果、自分のフィールドもおのずと見えてくるんです。
2:安易に人に同意しない。
1とかぶることもありますが、自分のフィールドを作ろうと思ったら、いっときは人に簡単に同意しない時期が必要です。
冷たいみたいですが、「同意しない」 は 「共感しない」 って意味じゃないので気をつけてくださいね。
「同じ」というざっくり粗いフィルターがキケン、ということです。
「あなたの主張は●●先生と同じですね!」とかの発言もそうです。私はこれ言われるとちょっとショックだったんですね。自分のフィールド作る意味あんのかな?って。厳密には、まったく同じ主張って2つとないのです(後で詳しく話します)。
「同じ」って思うと変に人に期待したり、期待させたりしがち。
結果、伝えるべきことを伝えられず、「この人なら分かってくれるはず」と思ったのに行き違ってた…。ってケースはよくあります。
特に感性重視の方は、以心伝心ぽい空気が心地よくなりがちなので、丁寧に見ていった方がいいかと思います(私もそうです)。
必要なのは、同意じゃなくて、思い込みで同じと思っていないか、丁寧に聴くこと。
=相手の個性を尊重すること。これによって、自分の個性も明確になり、活躍できるフィールドが見えてきます。
3:言葉よりも「文脈」に気を付ける。
同じことを言ってても、人によって重みが違って聞こえることってありますよね?
乱暴ですが、近所の知らないオッサンが言ってるのと、尊敬するセンパイが言うのとは、同じ「言葉」でも違って聞こえるはずです。
それが「文脈」の違いです。
「文脈」って、細かく紐解くと1人1人、全く違っています。性別、生まれ育った地域、時代背景、兄弟の何番目か、親の職業、親の口癖、学歴、職歴、病歴、そこで感じたこと…。
言い出すとキリがないのですが、すべてが「文脈」です。2人と同じ「文脈」ってないのが分かりますよね。
これまた乱暴な例ですが。生まれが裕福な人と貧困な人と中流な人が同じ成功哲学を言ってたとして、あなたならどの人なら共感できるでしょうか。マネしようと思うでしょうか。
◆その文脈を生きた人が言うと、どういう意味なのか?
これを考えることがすっごく大事。
というか私はこれを一番大事にしています。つまり、自分という存在を生きた人は2人といないので、自分が何かを考えて言う意味が出てくるからです。フィールドを作るのに、「すごい人」である必要は全然、ないんです。
私なら、より立場や価値観が近い人の文脈を参考にするかな。そして、近い文脈の人に対して発信すると思います。
(ちなみに余談ですが、昔は真逆の文脈の人ばかり:年齢の高いおじさんとか:を参考にしてました。そらうまくいかんわ…汗)
4:自分の立場ならどうするかを明確にする。
自分のフィールドを作って何かを発信するとき、人の言葉や学んだことを引用することも出てくることと思います。
その時に大事なのは、「そうだそうだ!」とか「これは違う!」じゃなく、自分ならどうするのかを明確にすること。2でも話したのですが、自分の言葉でよくよく言い直してみると、言いたい意味が違ったなって、よくあることだからです。
さっきから人との違いを強調しているみたいですが(笑)。違いがあるお陰で、自分がフィールドを作る意味があるんです。読み手の人は、違った意見も参考にしてみたいかもしれませんし、あなたならどう思うかに興味があるかもしれません。
SNSとかでは、共感の嵐とかで一時的に同じ話題がバズって盛り上がることがありますよね。あれにもいちいち賛同か反対か、なんて考えてたら疲れるだけ。理由は人の数だけあるから。
フィールドを作るには「自分ならどうするか」で考えればいいのです。
5:体験したことを語る。
1や2の例で出したように「ざっくり誰かと同じ」みたいな表現になるのはなぜか?それは、体験せず、昨日今日見聞きしたことを伝えてるだけだからです。それだと誰かのフィールドに乗っかってるだけ、ですよね。
体験していれば、おのずとその時の臨場感がともなって、一人一人違った想いや表現があらわれてくるはず。つたなくても、派手な体験がなくても、正直にそれを伝えることでオリジナルなあなたが伝わります。
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つまり、自分のフィールドを作っていくことで、おのずと競争の必要がない、独自のフィールドができていくはず。最初は実力や知名度がなくても、着実に人に影響を与えて心に残り、成果を上げていく人には、これがあるんですよね。
ただ、フィールドといっても目には見えないのですが…。
不思議なことに、場の波長みたいなものはありますし、感じ取るチカラは誰にでもあります。なんとなくこの人の文章を読むとイライラするなとか、このブログに行くと何だかホッとして元気が出るなとか、ありますよね。
人のフィールドに乗っかっていると、良くも悪くもこの影響を受けすぎてしまうんです。その人のフィールドが調子いいときは気にならないかもしれません(私はこれもいいとは思いませんが)。ただ、ひとたび批判の的になったらどうでしょうか。そのフィールド主の擁護に回るのでしょうか。それとも離れますか。
いずれにしても、それが自分の人生を生きていることになるのかは、少し疑問です。
せっかくこのようなマイナーブログにお越しくださり、自己表現について少し考えてみようと思われたなら。自分の最大限、心地よいフィールドってどんなんだろう?ってイメージしてみてはいかがでしょうか。
昔みたいに、大げさな「一国一城の主」になる必要なんてありません(笑)。
場は自分で、好きなようにつくっていいんですよ。